制限行為能力者の相手方の催告権とは?――未成年者の事例でわかる民法のしくみ
制限行為能力者の相手方の催告権とは?――未成年者の事例でわかる民法のしくみ
💡1.まず「制限行為能力者」とは?
民法では、すべての人が完全な契約できるわけではありません。
判断力が十分でない人を保護するため、次の人たちは「制限行為能力者」と呼ばれます。
| 種類 | 代表例 |
|---|---|
| 未成年者 | 18歳未満の人(親または未成年後見人の同意が必要) |
| 被後見人 | 判断能力を失った人(成年後見人が代理) |
| 被保佐人 | 判断が著しく不十分な人(重要な契約に同意が必要) |
| 被補助人 | 判断が一部不十分な人(一定行為に同意が必要) |
こうした人の契約は、保護のために「取り消すことができる」のが原則です。
🔹2.でも相手方にとっては非常に不安定!
制限行為能力者との契約は「取り消されるかもしれない」。
これ、相手方(契約の相手)にとっては非常に不安定です。
たとえば――
🎮 例:未成年のAさん(17歳)がゲーム機を買った
店員Bさんとしては、Aさんが未成年だと知らなかった。
ところが後日、Aさんの親が「未成年だから取り消します」と言ってきた。
Bさんからすれば、
「取り消されるかも・されないかも」と不安定な状態が続くわけです。
⚖️3.そこで登場するのが「催告権」(民法20条)
民法20条は、相手方を救うための制度です。
民法20条
制限行為能力者の相手方は、その者が行為能力者となった後、またはその法定代理人に対し、
「追認するのか、それとも取り消すのか」を催告できる。
期間内に回答がなければ、追認したものとみなす。
つまり、
相手方は「ハッキリしてくれ!」と迫る権利がある
ということです。
🧩4.具体的な事例で考えてみよう
事例
未成年者A(17歳)は、親の同意なしにバイクを10万円で購入。
店主BはAが未成年だと知らず販売。
その後、Aが18歳になった(=成年になった)。
① Bの立場(相手方)
Bとしては「この契約、結局どうなるの?」とモヤモヤ。
→ そこでBは、民法20条に基づきAにこう言える。
「Aさん、もう18歳ですよね。
このバイクの契約、追認しますか?取り消しますか?
2週間以内に返事してください。」
② Aが返事をしない場合
Aが何も言わなければ……
👉 追認したものとみなされる(=契約が確定)
つまり、Bはもう安心してよいということです。
③ Aが「取り消す」と言った場合
→ 契約は取り消し。
→ Aはバイクを返し、Bは代金を返す。
これでお互い元の状態に戻ります(原状回復)。
⚙️5.催告権のポイントまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が使える? | 制限行為能力者の「相手方」 |
| 誰に催告する? | 本人(能力回復後)または法定代理人 |
| 効力 | 期間内に返答がなければ「追認した」とみなされる |
| 目的 | 相手方の法律関係を早く確定させる |
| 条文 | 民法20条 |
なお被保佐人、被補助人はある程度の判断能力を有しているため、能力を回復していない本人に対しても催告可能です。
その場合に期間内に返答がなければ追認拒絶みなしとなります。
⚠️6.注意点:未成年者本人に対しては成年してからでないと催告できない!
例えば、未成年者がまだ17歳のうちに相手方が催告しても無効です。
なぜなら、本人がまだ「追認できる立場にない」からです。
催告できるのは、
✅ 成年(18歳)になったあと
✅ または法定代理人(親・後見人)に対して
というのが原則です。
💬7.まとめ:制限行為能力者の保護+相手方の安心
| 観点 | 制限行為能力者の保護 | 相手方の保護 |
|---|---|---|
| 制度 | 取消権 | 催告権 |
| 目的 | 不当な契約から守る | 法律関係を早く確定 |
| 条文 | 民法5条・9条など | 民法20条 |
✏️8.さいごに
「制限行為能力者保護」と「相手方保護」は表裏一体。
民法はどちらか一方に偏らないよう、バランスを取っています。
💬 契約は「守る」だけでなく「確定させる」ことも大事。
それを可能にするのが、相手方の催告権です。
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