民法90条「公序良俗」とは?わかりやすく解説【判例付き】
民法90条「公序良俗」とは?わかりやすく解説【判例付き】
今回は、民法の中でも非常に重要な条文である「公序良俗(こうじょりょうぞく)」について、判例とともにわかりやすく解説します。
契約の有効・無効を左右する、まさに“最後の砦”のような条文です。
🏛 公序良俗の条文
まずは条文を確認しておきましょう。
民法第90条
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
つまり、「社会の秩序や一般的な道徳観に反するような契約・約束は、法律的に無効になる」ということです。
💬 公序良俗とは何か?
「公序」とは社会の基本的秩序、
「良俗」とは一般的な道徳・倫理を指します。
法律は自由を尊重しますが、「自由なら何をしてもいい」というわけではありません。
社会全体から見て不当な契約、または人間の尊厳を損なうような行為は、たとえ当事者が合意していても無効とされます。
⚖️ 判例で学ぶ!公序良俗の具体例
① 不倫関係を継続する契約(最判昭和61年9月9日)
事案:男性が「妻と別れてあなたと結婚する」と約束し、女性が金銭を渡したが、結婚しなかった。女性が返還を求めた。
判旨:
不倫関係の継続や離婚を誘発するような契約は、社会倫理に反し無効。
→ よって、支払った金銭は**不法原因給付(民法708条)**となり、原則返還請求もできない。
📚ポイント:不倫関係や姦通関係を前提とする契約は「良俗」に反する代表例です。
② 暴力団関係者への利益供与契約(最判平成4年1月24日)
事案:暴力団組長の「用心棒代」として支払った金銭を後で返還請求。
判旨:暴力団活動を助長するような契約は、公序良俗に反し無効。
📚ポイント:「反社会的勢力」への利益供与は、現代でも企業法務で極めて重要なリスク。
③ 内縁関係の破棄(最判昭和54年3月30日)
事案:10年以上の内縁関係を一方的に破棄。
判旨:内縁関係は社会的に保護されるべきであり、正当理由のない破棄は不法行為(公序良俗違反)となる。
📚ポイント:公序良俗は「否定」だけでなく、「保護」の方向にも働くことがあります。
④ 過度な競業避止義務契約(東京高判平成3年9月19日)
事案:退職後10年間、同業他社への就職を禁じる契約。
判旨:期間・地域・職種が過度に広い場合、労働者の職業選択の自由を不当に制限し、公序良俗に反する。
📚ポイント:ビジネスの世界でも「行き過ぎた制限」は無効になり得ます。
🧭 公序良俗違反になるかの判断基準
裁判所は、次のような観点から総合的に判断します:
- 社会の一般的倫理観・道徳観
- 契約内容の性質・目的
- 当事者の関係や社会的地位
- 契約がもたらす社会的影響
つまり、「単に気に入らない契約」ではなく、社会全体として“これはまずい”と感じるレベルのものが該当します。
🧩 現代的テーマにも適用される公序良俗
近年では以下のような問題にも公序良俗が関係します:
- 性的動画の不当拡散と契約の有効性
- 過剰な消費者ローン契約
- 反社会的勢力との取引
- SNSでの誹謗中傷や「炎上商法」契約
つまり、公序良俗は時代の価値観とともに「進化する」条文なのです。
🔚 まとめ
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 条文 | 民法90条 |
| 意味 | 社会秩序・道徳に反する契約は無効 |
| 典型例 | 不倫契約・暴力団取引・過剰な競業避止義務 |
| 判例 | 昭61・9・9最判、平4・1・24最判、昭54・3・30最判 など |
✍️ 司法書士としてのひとこと
契約書を作成する際、「当事者が納得していればOK」と思いがちですが、
“社会的に見て妥当か”という観点も非常に大切です。
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